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2023-2024
アートエステ ~エッセイ~ 「シークレットラブ」
「もう!だから言ったじゃない、気をつけてって!」 自分の不器用さに悪びれる顔をしている幸男に、明美は声を上げた。 明美の父は写真家だ。 還暦を過ぎ、準備も大変になってきて、これが最後の個展になる。 その手伝いとし... -
2023-2024
アートエステ ~エッセイ~ 「たったひとつだけ」
冬の夜の海は、毎日表情を変える。 満月の日は、月灯りで、辺りが明るくなるし、 雲がかかった日は、黒い折り紙に潜りこんだかと思うほど、 暗い静かな世界になる。 今日は、どちらかというと、後者に近い。 こんな日は、地球がまるで瞳を閉じているようだ... -
2023-2024
アートエステ ~エッセイ~ 「マザー」
午後の日差しが差し込む病室は、 静かな時間がゆっくり流れ、 窓から見える銀杏の葉は風にのり、可愛げにこちらに手を振っている。 まるで修道院のような清らかさがここにはある。 涼太は母・房江が倒れてからというもの、 時... -
2023-2024
アートエステ ~エッセイ~ 「カーテンコールをもう一度」
SOLD OUT(2023) 瑤子は、古びたホテルのベッドの上で、事が終わるのを待っている。 「1日に何人も大変ね・・」 時に、こんな言葉をかけられた... -
2023-2024
アートエステ ~エッセイ~ 「いのちを編む」
―― ちいちゃん、また自分をごまかして、、。 そんなの無理して行かなくていいのに ――― 千鶴子の心を見透かしていながらも、諭すように、優しい声が千鶴子の脳裏に聞こえてくる。 「え、、そうかなあ。 だって、一応出てお... -
2023-2024
アートエステ ~エッセイ~ 「刹那より輝く」
日本海に隣接するこの街は、 冬ともなると、横殴りの厳しい海風が叩きつけてくる。 響子は、買い物袋の重たさを感じながらも、 手袋を纏った右手を自分の頬に当て、 足早に、定食屋「かっぽうぎ」へと向かっていた。 佐上響子... -
2023-2024
アートエステ ~エッセイ~ 「おかえり、わたし」
駅が近づくにつれ、故郷・山梨の景色が萌子の瞳に迫ってくる。 東京では見られないリアルな山々が、鮮明に映る。 ナイフのような岩稜、あらわになった山肌、民家の向こうに連なる稜線、 肩を並べるように、 どの山も腰をずっしり降ろし、天に向かって高く... -
2023-2024
アートエステ ~エッセイ~ 「心、朽ちるまで」
七海子は4歳になる侑人(ゆうと)の手を引き、この駅に降り立った。 港近くのこの町は、多くの若者を都会に送り出し、町全体が閑散としている。 【余りものを受け入れるだけの人生】 七海子に付けられた人生タイトルだ。 思えば、子... -
2023-2024
アートエステ ~エッセイ~ 「Anniversary」
「神様はどうしてこんなに不公平なのだろう。」 私が何をしたというのだ。前世に何か悪いことでもしたのだろうか。 もし、そうであるなら時効じゃないか。 明日香は、ふうーっと重い息を吐きながら、 天井についた古い... -
2023-2024
アートエステ ~エッセイ~ 「スポットライト」
「しばらくひとりにさせてくれ」 担当の編集者に、その言葉を残し、ひとりアトリエを後にした。 佐沢拓哉は、東京で小説家として名を挙げたその一人である。 端正な顔立ちに細く長い指、 スマートな佇まいは女性ファンからの...
